【感想】小説『サラバ!』(西加奈子)から読み解く自己肯定感を高める方法

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2014年の直木賞受賞作 西加奈子さん著 「サラバ!」を読みました。

サラバ! (下) (小学館文庫)
サラバ! (下) (小学館文庫)

(2019年8月現在、電子書籍が発売されていないのがつらい)

優れた小説は、主人公の生き様を読者に追体験させることで成長を促します。

サラバ!は作者自身のエジプトや大阪で過ごした過去や、阪神淡路大震災などの史実を登場させ、ほぼ同年齢を主人公としているほど、作者自身の人生を色濃く反映している作品です。

この作品から私は人が自己肯定感を向上させるための鍵を感じました。

それでは早速、読み解いていきましょう。

(ちなみにネタバレありです)

「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」

下巻P152の姉の言葉です。

いきなりですがこれが作者の一番の主張でしょう。

人は自分の価値をどう決めるのか。自分をどう肯定するか。

多くの間違いがここにあります。

自分に価値はあるのかの問いに、自分の能力を上げることで自分を肯定しようとする選択肢があります。

学歴、職業、資格、年収。

人より優れた存在になることで、抜きん出ようとする。

ところが、自分の心はよくわかっているもので、いくらその方向に努力をしても満たされないのです。

他者を下に見て優越感を得ることでは、自分を肯定できないのです。

また他人からも本当の意味で認められないのです。

なぜか?

それは、状況が変われば価値も変わる脆くて揺れるようなものだから

(例:年収が高い職業についていても、事故で働けなくなったら変わる)

そのようなものを自分の意思決定の重要なものとして捉えていた主人公は、同じく『芯』がなく脆くて揺れるような存在だったわけです。

姉さんの言う、『誰か』とは、世間一般で言う価値があるとされるようなもののことだったのでしょう。

本当の意味で自己肯定感を高めるには

この方法について何年も私は考えていました。

ネットや本では「あなたがあなたを許すこと」という言葉が非常に多く掲載されていましたが、この言葉を聞いても「そうだ!許すぞ!自己肯定感が高まったぞ!」なんて即効性はありませんでした。

この一つの答えがこの物語では提示されていると考えます。


人は自分を肯定するために、自分だけではできません。

自分が深く信頼する相手と深い信頼関係を結ぶことが必要不可欠です。

もっというと、自分が深く信頼している相手を大切にすることを通して自分を肯定できるのです。自分は生きていてもいいと思えるのです。

例えば、親友が辛かった時に一緒にいて「あのときはありがとう。おかげで助かったよ」

そう言われたら、「よかった」と本当にうれしい気持ちになると思います。自分が役に立てた。

そういう喜びに自分が存在して意味があったと感じませんか。それが自己肯定感です。

これは「サラバ!」における主人公のお姉さんもこう言っています。

「私はあなたを愛している。それは絶対に揺るがない。あなたを信じているからではない。あなたを愛している私自身を、信じているからよ」

サラバ! 下巻 P182

相手を大切にすることに、スキルも年収も関係ありません。

何をするのか?

人間関係をより良いものにすることは難しいことではありません。

  • 相手とした約束を守る
  • 相手の話を真摯に聞く
  • 相手に感謝を伝える

相手との関係性を深めることは、一つ一つは誰でもできることです。

「絶対に会いに来ます」

サラバ! 下巻 P254 主人公が芯を持つ過程

相手は人でなくてもいい

↑のような人間関係を築く相手がいなくて、そんな関係を築ける気がしない。

そんな状況でも問題ないことをサラバでは示したかったようです。

↑のような相手で多くの人が想像するのは恋人や友人でしょう。

ただ、サラバ!では何も恋人や友人に限定していません。

そんなときのために自分のでもよいと言っているのです。

信仰とは

神・仏など、ある神聖なものを(またはあるものを絶対視して)信じたっとぶこと。そのかたく信ずる心。

wikipedia

自分が深く信じるに足る神のためにふさわしい自分になる。

それは正に同じ構図であります。

神を大切にする自分自身(神が自分が信頼しているのが前提ですが)で、自分を肯定できるのです。

自己肯定感があるとどうなるのか

最後に自己肯定感があることによる違いを書きます。

自己肯定感があると、自分の人生を前向きにとらえられます。

新しいことにチャレンジする意欲がでたり、ささいなことでもいたずらに傷ついたりしない自分になったりと悪いことがありません。

また、他人に良い雰囲気も与えるため、人間関係も円滑になりやすいでしょう。

反対に自己肯定感が低いと、「人生いつ終わってもいいや」という気持ちで生きることになると思います。

覇気もなく、魅力も人は感じないでしょう。

そういった態度は周りも決して良い気持ちにはしません。

人間関係のストレスも相当なものでしょう。

是非、身近の大切な人をより大切にしてみて、自己肯定感を高めて更に良いあなたになってください。


サラバ! (上) (小学館文庫)

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